映画「時計じかけのオレンジ」の評価と感想と食事シーンからの考察

ムビメシュラン評価5  
ビディーって絶対に損はないホラーショー作品

 衝撃的な暴力や性のシーンが多いことで有名な作品です。一方で1人の影響力を持った青年が腐敗した社会に利用され、取り込まれていってしまう過程を描いた政治的なメッセージも込められた作品です。スタイリッシュな映像とクラシック音楽のオブラートに包まれてはいるものの過激なシーンが続きます。耐えうる元気のあるとき鑑賞するのをおすすめします。

 

作品情報

<タイトル>
時計仕掛けのオレンジ
<日本公開年月日>
1972年4月
<スタッフ>
・監督:スタンリー・キューブリック
・原作:アンソニー・バージェス
<出演>
マルコム・マクダウェル
パトリック・マギー
マイケル・ベイツ
<あらすじ>
 舞台は荒廃した近未来のロンドン。主人公アレックスは夜な夜な不良仲間と集まり暴力行為を繰り返す。仲間割れをきっかけに刑務所に入ることになったアレックスはルドヴィコ療法という矯正プログラムを受けることになる。

 

このシーンいただきます!〜腐敗に取り込まれるステーキ病院食〜


 今日切り取るのは、ルドヴィコ療法の甲斐なく凶暴性を取り戻したアレックスのもとに内務大臣が訪れ食事の介護をするシーンです。病院食とは思えない豪華な食事のように見えます。内務大臣はギブスで固められ、身動きが取れないアレックスに代わりアレックスの好むタイミングで一口大に切ったステーキをアレックスの口に運びます。アレックスは大臣に食事の介護をさせていることに対して全く恐縮する様子もなく、エサを待つ小鳥のように口を大きく開けて食事を催促します。
 自らの凶暴性を排除しようと試みたかと思えば手のひらを返したように媚びへつらう大人と、そんな大人たちが作り上げた社会に振り回される生き方に甘んじてしまうアレックスを象徴した絶望的なシーンに仕上がっています。

 

バッドエンディングムービーのひとつ

 バッドエンディングの映画を集めた記事の中で、この「時計仕掛けのオレンジ」がそこに入り込んでいるのをあまり見かけません。そもそもバッドなのがエンディングだけではないからなのか、それともアレックス自身が絶望を感じていないからでしょうか。

ナッドサット言葉と暴力行為について

 アレックスが仲間と話す際にナッドサット言葉を使います。「ドルーグ(仲間)」や「ホラーショー(素晴らしい)」、「トルチョック(殴る)」などです。よくJK語などといって女子高生が使う言葉がテレビなどでも取り上げられますが、これと同じことでしょう。自我が芽生え、親や教師のいいなりになるのが嫌になるけれども、まだ大人のサポートなしでは生きていけないこともわかっている複雑な気持ちを抱えた世代です。仲間内にしかわからない言葉を使うことはこの世代のささやかな反抗です。彼らはこの言葉を批判する大人のことも、分かったふりをする大人のことも見下しています。冒頭のアレックスたちの暴力行為も家庭、学校、社会に対する、彼らなりの何かに対する必死の抵抗だったはずです。

抵抗むなしく腐敗の連鎖へ

 しかし仲間のうち2人は警察官になり、アレックスは政権の道具となり形は違えど、どちらも体制側に取り込まれてしまいます。アレックスたちの暴力を生み出した構造に、再び彼らが取り込まれて腐敗が止まらないこのエンディングに強い絶望と無力感を感じます。バッドエンディングながら何度もビディーりたくなるホラーショーな作品です。

 

2020.1.25  むびめしこ

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です