「トランス・ワールド」の評価・解説・感想

映画「トランス・ワールド」の
評価作品情報食事シーン解説感想

「トランス・ワールド」のムビメシュラン評価4  

 心理サスペンス、ダークファンタジー、SF要素がぎゅっと詰まった良作です。森の中に迷い込んだ3人の男女が自らのルーツに共通点を見出し、脱出するべく格闘します。脚本の意外性が一番の見所なので、出来るだけ前情報、先入観なしで観ることをオススメします。

 

「トランス・ワールド」の作品情報

<製作年>
2011年
<スタッフ>
・監督:ジャック・ヘラー
<出演>
スコット・イーストウッド
サラ・パクストン
キャサリン・ウォーターストン
<あらすじ>
 主人公のジョディがボーイフレンドのケビンとともに雑貨店に押し入るところから物語は始まります。自動車の故障で森から出られなくなったトム、ガス欠になりガソリンを探しに出た夫を探し歩くサマンサ、そしてジョディは森の中で出会います。3人の共通点とは、そしてこの森から脱出する方法とは。

 

このシーンいただきます!
~「血縁」の3人が親睦を深める缶詰パーティー~

 今日切り取るのは食料を探し歩いた3人が見つけたナチスのエンブレムのついた缶詰をいただくシーンです。見知らぬ者どうし、暖房もないという張り詰めた空間にあっても食事というのはやはりホッとする瞬間であり、親睦が深まるタイミングでもあります。3人が冗談を言い合える関係へと進むシーンでした。

「トランス・ワールド」のファンタジー要素を掘り下げる

店主の役割

 ファンタジー作品でも遠も重要な設定の一つが、別世界へのトンネルです。「不思議の国のアリス」ではウサギの穴で、「ナルニア国物語」では洋服タンス、「ネバーエンディングストーリー」では本そのものでした。本作品では雑貨店の金庫とそれを守る店主がその役割を果たしました。いつでも誰でもその世界へ飛び込むことができるわけではなく、その世界が必要とする人物が必要とされるタイミングで扉は開きます。謎の店主がジョディにとっての「必要」を見極めたのでしょう。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」へのオマージュ

 ジョディが着ていた時代を象徴するベストといい、写真の中の姿が消えゆく演出といい「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を思い出さずにはいられません。ジョディが生きていた1985年は「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の第一作が公開された年ですから、本作品の作り手が相当に意識していることは間違い無いでしょう。

<ネタバレを含みます>

 時空を行き来する作品の代表である「バック・トゥ・ザ・フューチャー」では過去の人に未来の出来事を教えないことが大原則でした。一方本作品は正反対で、4つにまたがる世代の登場人物が自らの境遇を話し合い、絆を深めます。しかし森で起きた出来事の記憶は自分の世界に持ち帰ることができません。自らの運命を大きく変えるために命がけの努力をしたのに、その記憶がないというこの点が本作品をぐっとビターに大人向けの作品に仕上げています。

感想まとめ

 さて作品の最後、清楚な姿となってジョディが現れた直後に森に迷い込む以前のジョディと同じような不良カップルがまた雑貨店に押し入ります。ジョディ自身の人生は好転しましたが、社会全体で犯罪をなくすことは不可能でありジョディがやらなければ他の誰かがまた犯罪を犯すということなのでしょう。世界をマクロで見渡せば結局歴史を変えることはできないというある種の限界を見せつけて余韻を残す作品でした。

2020.2.27  むびめしこ

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