「昼下がり、ローマの恋」の 評価・作品情報・感想
「昼下がり、ローマの恋」の
評価・作品情報・感想
「昼下がり、ローマの恋」のムビメシュラン評価2
3人の男をめぐるオムニバス作品ですが、正直前半の2つは「何を見せられてるんだ?」という、やや滑稽なイタリア男のしょうもない不倫劇を見せられます。ただイタリア映画らしい唐突つ強烈な笑いがときどき訪れるので、全く退屈というわけではありません。ロバート・デ・ニーロとモニカ・ベルッチが登場してからは本作品の本領発揮です。ここだけ切り取れば星4つにしたかったのですが、とにかく長い前座のために星2つです。
「昼下がり、ローマの恋」の作品情報
<日本公開年月>
2012年2月
<スタッフ>
監督・原案・脚本:ジョヴァンニ・ヴェロネージ
<出演>
ロバート・デ・ニーロ
モニカ・ベルッチ
リッカルド・スカマルチョ
<あらすじ>
ローマとトスカーナを舞台に、とあるアパートの住人たちが織りなす大人の恋物語。世代の異なる3人の男性が体験するラブストーリーを軽妙なタッチで描く(Netflixより)
「昼下がり、ローマの恋」の感想
3つのストーリーはすべてローマにあるアパートの住民をめぐって描かれます。さらにストーリーテラーとして謎の男が登場するのですが、こいつがまたうさんくさい。
結婚間近の男の火遊び
ひとつめはアパートに暮らす女性サラと、彼女との結婚を間近に控えたロベルトの物語です。出張しでトスカーナ地方に出向いたロベルトは、とびっきりの美女ミコルと出会います。サラのことはもちろん大事。けれども目の前のミコルの魅力に引きずり込まれ、その強引な誘いによって遂にベッドインしてしまいます。しかし実はミコルには秘密があり…。
首相が女性スキャンダルで辞任に追い込まれるほどイタリア人男性は恋愛好きと思われていますが、男性だけでなく女性もかなり熱しやすいのかしら?とはいえこんなにヒヤヒヤしたんだから、ロベルトが同じ過ちを繰り返さないことを願うばかりです。
定年間近の男の過ち
2つめは、ベテランのニュースキャスターであるファビオが、アパートの住人エリアナに誘惑され、あれよあれよとエリアナのペースに巻き込まれていくサイコな恋の物語です。
美人でグラマラスなエリアナに言い寄られ、鼻の下が伸びまくりなファビオでしたが、カツラを思いっきり剥ぎ取られたり、猫の真似を強要されたりとエリアナはかなりのくせ者でした。その辺りで手を引いておけばよかったのですが…。
よく「ハゲを気にするのは日本人くらいだ!」なんて強がっているおじさまがいらっしゃいますが、イタリアでもかなりの笑われ具合だったのが印象的でした。(ずっとカツラで隠し通していたファビオがある日突然ハゲになったからでもあるのですが。)
人生の終盤で訪れたトキメキ
ここでようやくデ・ニーロの登場です。3つめは2年前の定年を機にアメリカからローマのアパートに移り住んできた元ボストン大学の教授エイドリアン(ロバート・デ・ニーロ)が、パリ在住の美女ビオラ(モニカ・ベルッチ)との恋に燃え上がります。
「イタリアの宝石」と称されるモニカの色気は先に登場した2人のものとは比べ物になりません。先に登場した2人もとっても美しくスタイルも抜群なのですが、モニカの場合にはそこにさらに哀愁というか憂いというか、なんだかこう男性のほっておけない精神をくすぐる色気を感じます。
そんなモニカのお相手として登場したのがなんと65歳オーバーのロバート・デ・ニーロです。元カレと思われるいかにもなチンピラに「アバズレ!」と罵られ、「もう男はコリゴリ」と話すビオラにそっと寄り添うのは、人生の悲喜こもごもを味わい尽くしてきたこのイケオジしかいないでしょう。ただ寄り添うだけでなく、ちゃっかりパパになってしまうあたりがさすがなオチの本作品でした。
イタリアに降り注ぐ太陽の光のようにあっけらかんと陽気なイタリア人の恋愛模様は、我々日本人には少し滑稽にも映ります。しかしその中にも様々な(彼らなりの)苦悩があり、最後まで人生の楽しみを追求する様は羨ましくもあります。恋愛でなくてもこんな風に最後まで何かに夢中になれるイケオバになりたいなぁと思いました。
2020.6.7. むびめしこ