映画「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」の評価・感想・ネタバレ・ラストの2人の選択の考察

「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」の
評価作品情報感想ネタバレ

 

「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」のムビメシュラン評価4

 人生のターニングポイントを迎えた老夫婦の静かなドタバタほっこりコメディです。モーガン・フリーマンとダイアン・キートンの自然体で落ち着いた演技が様々な苦楽を共にしてきた夫婦の姿を顔に刻まれた皺のように味わい深くじわりじわりと表現します。自分にとってたいせつなことを思い出させてくれる暖かい陽だまりのような作品です。

「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」の作品情報

<日本公開年月日>
2016年1月
<スタッフ>
・監督:リチャード・ロンクレイン
・原作:ジル・シメント
<出演>
モーガン・フリーマン
ダイアン・キートンキートン
シンシア・ニクソン
<あらすじ>
 ニューヨークという大都会で階段のない古いアパートで生活することに限界を感じた老夫婦はより自分たちに合った生活を求め引っ越しを決意します。ペットの不調、オークションのように慌ただしく売値を決めようとする不動産屋、近所で発生したテロなど、様々な事件が起こる中で夫婦は本当に大事なことを思い出します。

「ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります」の感想

アレックスの心を開いた少女

 カーヴァー夫妻の部屋の初めての内覧会の日、真剣に部屋を見にくる人だけでなく興味本位で訪れる人や暇つぶしにくる人、住人の目の前で部屋の欠点をあげつらう人など実に様々な人が訪れ、アレックスは辟易とします。そんな中アトリエにメガネをかけた少女が現れます。アレックスにとっての一番のホームであるアトリエに潜り込んだこの少女にアレックスは心を開きます。彼女の素朴な疑問に答えながら自らの人生を振り返るのでした。

 

度々現れる少女

 カーヴァー夫妻が次の居住先を探すため、よその内覧会を訪れると再びこの少女に出会います。少女の母親は事あるごとに様々な内覧会を巡っているようですが、少女はアレックスの部屋が一番だと話してくれます。

 

少女の役割

 少女はアレックスにとっての鏡のような役割を果たしました。アレックスが描いた絵、療養中の愛犬、そして二人が時間を重ねた部屋について少女は主に質問をするばかりで答えるのはアレックス自身です。アレックスはこの少女に話す事で自ら気づきを得るのでした。

<ネタバレを含みます>  

カーヴァー夫妻にとっての部屋とは

 不動産屋は自らの実績のためにも可能な限りの高値で部屋を売却しようと駆け回ります。一方老夫妻は気に入った部屋を見つけ、契約に向かいますがそこで目にしたのは自らが過ごした部屋を「より高く」売りたいがために二人の意見がまとまらない若い夫婦の姿でした。
 二人にとってこの部屋は二人で過ごした時間そのものだったのです。それに値段をつけ、さらに「より高く」売却できるよう画策することは二人の本意からは外れることだと気がつきました。
 二人の歴史をお金ではなく本当にその価値をわかって受け継いでくれる人が現れた時に、二人はこの場所を離れられるのではないでしょうか。 

カーヴァー夫妻のこれから

 老夫妻がエレベーターのないこの部屋にこれからも住み続けることはおそらく不可能でしょう。しかし二人は「とりあえず」この部屋に住み続けるという選択をしました。

 カーヴァー夫妻はまだ黒人と白人が結婚することへの偏見が色濃い時代に周囲の反対を押し切って結婚をしました。またアレックスは「売れる絵」を描くことよりも自身の作風にこだわり、妻ルースもその姿勢を支え続けました。2人は自分たちの生き方を貫くことで幸せを守ってきたのです。部屋を高く売却したいだけの不動産屋に流されるのは2人のやり方ではなかったのでしょう。それに気づかせてくれたのが前述の不思議な少女でした。きっと2人なりの方法で素敵な人に部屋を譲り、素敵な新しい部屋へ引っ越すことができる、そんな未来をなんとなく想像できてしまう作品でした。

 

2020.2.17.  むびめしこ

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