映画「ソフィーの選択」の評価と感想とタイトルの考察

ムビメシュラン評価4
胸に突き刺さるタイトルの意味

 美しく可憐なソフィーと、パートナーであるネイサンとの間で繰り返されるハネムーン期と暴言と暴力の爆発期。物語はそれをもっとも近くから眺める主人公スティンゴの視点で描かれます。ソフィーはどこか浮世離れした掴みどころのない雰囲気を漂わせますが、のちにその暗く悲しい秘密がタイトルの意味とともに明らかになります。人間を無慈悲で冷酷なモンスターに変えてしまう戦争の悲惨さを静かに訴える作品です。

 

作品情報

<タイトル>
ソフィーの選択
<日本公開年月日>
1983年10月
<スタッフ>
・監督:アラン・J・パクラ
<出演>
メリル・ストリープ
ケヴィン・クライン
ピーター・マクニコル
<あらすじ>
 作家を目指す青年のスティンゴは世間知らずのまま故郷を飛び出しとあるアパートに住み着くこととなります。その初日に上階に住むソフィーとネイサンの大げんかを目撃したことから3人の奇妙な関係がスタートします。

 

【ネタバレを含みます】

このシーンいただきます!〜ソフィーの世界に導かれるディナー〜


 今日切り取るのは、スティンゴがアパートに越してきた初日に歓迎パーティーが出来なかった謝罪にソフィーがディナーをスティンゴに届けるシーンです。
ソフィーは嘘と真実を織り交ぜながら自身の過去を話します。彼女の抱える過去は初対面の人間にありのまま話すことができるような軽いものではありません。しかしソフィーは「話さない」のではなく、嘘を織り交ぜて話をします。自身の作り上げた幻想の中に逃げ込むという選択をして生きているようです。そんなことには全く気がつかない世間知らずなスティンゴは「善良な」彼女の父親と彼女の境遇に同情し、そして惹かれ始めていきます。スティンゴだけでなく我々観客も彼女のファンタジーの世界に迷い込んでしまう始まりのシーンでした。

ソフィーの3つの大きな選択

一つ目の選択

 ソフィーの人生における最大の「選択」は作品の終盤、スティンゴがソフィーに求婚した際にソフィー自身の口から明かされます。かつてソフィーがアウシュビッツ収容所に収監された際に2人の子供のうち1人だけ助けてやると言われ、選べないならば2人とも焼却炉行きだと迫られた際に彼女がしなくてはならなかった「選択」です。

二つ目の選択

 ネイサンもまた自分の作り上げたファンタジーの世界に逃げ込んだ1人でした。ソフィーには、精神的に不安定で時には自分を傷つけるネイサンではなくスティンゴと共に温かな家庭を築くという選択肢もありました。そうしなかったのはスティンゴがまだ若く、世間知らずで現実の厳しさを知らなかったからでしょうか。それだけではなく、スティンゴと暮らして家族を作り、自身のファンタジーから抜け出して現実と向かい合うことに耐えられなかったからではないでしょうか。
 ネイサンの妄想はソフィーには知らされていませんでした。しかしソフィーは彼が自分と同じ虚構の世界に生きる人間であることを直感的に感じていたのではないかと思います。心にあまりに大きな傷を負ったソフィーが現実から目を背けて生きていくことは自然の流れのように思われました。

三つ目の選択

 ついにネイサンとソフィーは永遠に現実の世界から逃げ出すという選択をしました。2人にとっては「大いなる審判」の日でしたが、これからも現実を生き続けるスティンゴにとってはいつもと同じ朝でした。

 壮絶な人生を過ごし、激しく周囲を振り回すソフィーとネイサンに自身も振り回されながらも最も近くで2人を見守り、そして見送ったスティンゴの淡々とした語り口がよりいっそう虚しさを余韻として残しました。

2020.1.27  むびめしこ

 

 

 

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