「ザ・コールデスト・ゲーム」の感想と冷戦時代のポーランドの立ち位置について

映画「ザ・コールデスト・ゲーム」の
評価作品情報冷戦時代のポーランドについて感想

「ザ・コールデスト・ゲーム」のムビメシュラン評価3

 チェス大会の裏でキューバをめぐり米ソが火花を散らす、というスパイ映画です。米ソの話に見えてポーランドの力強さと切なさを描いた作品でした。フィクションではありますが歴史ものとしても楽しめます。 

「ザ・コールデスト・ゲーム」の作品情報

<日本公開年月日>
2020年2月
<スタッフ>
・監督: ウーカシュ・コシミツキ
<出演>
ビル・プルマン
ロッテ・ファービーク
ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ
<あらすじ>
 舞台はキューバ危機に揺れる1962年10月。アメリカは海上封鎖かキューバ侵略、はたまた空爆を行うかの究極の選択を迫られていました。決断に必要なのはソ連がキューバに運び込んだ核ミサイルの詳細です。その情報を仕入れるべく、ポーランドで開催された米国対ソ連のチェス大会に諜報機関のエージェントが天才数学者を引き連れ、命がけで乗り込みます。

実話なの?

 キューバ危機に揺れる米国がソ連の核兵器の情報を欲していたことは事実です。詳細は映画「13デイズ」などで描かれています。しかし、その裏側でチェスの大会が開かれていたという事実はないようです。

ポーランドの立ち位置

 ポーランドは古くから隣国ソ連(現ロシア)との争いが絶えず、第二次世界大戦後はソ連の強い影響下にあった一方で反ソビエト感情を持つ人々も少なくありませんでした。主人公のマンスキーを手助けした科学文化宮殿の支配人はポーランド人でした。ソ連の諜報員の指示に逆らってマンスキーにお酒を提供したり、秘密の抜け道を教えたりしました。自宅にドル紙幣を隠していたとの描写もありましたから、民主主義国へと自由を求め亡命を企んでいたのでしょう。自由の国アメリカに憧れる支配人ですから、米国からの来賓であるマンスキーに強く興味を持ったのも理解できます。

社会主義国と民主主義国の対比

 本作品では社会主義国側から見たアメリカの描写がとても印象的でした。ソ連の将軍クルトフは民主主義国について次のように語ります。

    金持ちが強く、労働者が弱い
   女は使用人扱いで黒人は差別される
   ヤツらは途上国に民主主義を広め、食い物にする
     途上国が企業を国営化すると、民主主義を守る名目で軍隊を送る
   人間の価値とは?  
   奴らは金だけだ。決して分かり合えん。

 なかなか的を射た指摘です。民主主義のマイナス面が見事にまとまっています。
 ではクルトフが崇拝する社会主義国における人間の価値とはなんなのでしょう?資本のための労働を否定し、階級間の対立を排除することが共産主義の根幹ですが、それを実現できた社会主義国は未だかつて存在しません。

「ザ・コールデスト・ゲーム」の感想

 タイトルからして冷戦の話だろうとは思ったのですが、主役は米ソではなくポーランドだったんですね。ナチスの支配から逃れ、隣国にして強大国であるソ連に翻弄される続けるポーランドを描いた作品でした。困難な状況にあっても、ソ連の力に流されずユーモアいっぱいにアメリカ人をもてなす支配人の姿にポーランド人の力強さを感じひたひたと感動しました。

 

2020.3.18. むびめしこ

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です